2026年9月15日|埋蔵票分析コラム
【今週の埋蔵票分析】東京都立川市議選——当選ライン924票、眠る票は約5,888票
選挙結果の概観
2026年6月21日執行の東京都立川市・市区議会議員選挙(注目ポイント:大接戦)は、定数28に対して40人が立候補する多数乱立型の選挙となった。有効投票総数は62,905票、当選ラインは924票。
| 順位 | 候補者 | 所属 | 当選回数 | 得票 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 木原 ひろし | 自由民主党 | 6期 | 4,906 |
| 2 | 江口 元気 | 自由民主党 | 5期 | 4,045 |
| 3 | わたなべ 忠司 | 立憲民主党 | 4期 | 2,870 |
| 4 | 中山 ひとみ | 自由民主党 | 7期 | 2,646 |
| 5 | いちのせ 陽子 | 参政党 | 2期 | 2,535 |
| 6 | 原 ゆき | 立憲民主党 | 3期 | 2,344 |
| 7 | 瀬 のぶひろ | 公明党 | 5期 | 2,259 |
| 8 | ひやま 昇吾 | 都民ファーストの会 | 2期 | 2,228 |
| 9 | 佐々木 たかまさ | 国民民主党 | 2期 | 2,163 |
| 10 | 冨田 いたる | 日本保守党(代表者:百田尚樹) | 2期 | 2,148 |
| 11 | 中井 あきこ | 公明党 | 2期 | 2,033 |
| 12 | かどくら 正子 | 公明党 | 5期 | 2,016 |
| 13 | 伊藤 ゆきひで | 公明党 | 7期 | 2,008 |
| 14 | たかはた 奈美 | 自由民主党 | 3期 | 2,002 |
| 15 | 頭山 太郎 | 無所属 | 6期 | 1,924 |
| 16 | 福島 正美 | 公明党 | 7期 | 1,882 |
| 17 | 大沢 純一 | 公明党 | 5期 | 1,794 |
| 18 | いなはし ゆみ子 | 立憲民主党 | 7期 | 1,781 |
| 19 | 永元 きょう子 | 日本共産党 | 3期 | 1,637 |
| 20 | あべ みさ | 立川・生活者ネットワーク | 3期 | 1,599 |
| 21 | 若木 さなえ | 日本共産党 | 5期 | 1,559 |
| 22 | 浅川 修一 | 日本共産党 | 7期 | 1,542 |
| 23 | 山本 ようすけ | 緑の党グリーンズジャパン | 4期 | 1,517 |
| 24 | 中町 さとし | 日本共産党 | 5期 | 1,389 |
| 25 | 権藤 よしつぐ | 日本維新の会 | 2期 | 1,084 |
| 26 | やた 一久 | 無所属 | 2期 | 981 |
| 27 | 上林 たかや | 自由民主党 | 2期 | 974 |
| 28 | いしとび かおり | 無所属 | 3期 | 924 |
| ─── 当選ライン 924票 ─── | ||||
| 29 | 羽賀 みずき | 自由民主党 | — | 853 |
| 30 | ふじの かなえ | 無所属 | — | 692 |
| 31 | うちの あいり | 立川つながりの党 | — | 688 |
| 32 | 石川 いくえ | 無所属 | — | 661 |
| 33 | 山本 ひらく | 無所属 | — | 627 |
| 34 | みのやま わたる | 無所属 | — | 508 |
| 35 | おっぱた 直樹 | 創生党 | — | 498 |
| 36 | 箱石 つよし | 無所属 | — | 480 |
| 37 | ことぶき 玲子 | 無所属 | — | 416 |
| 38 | 松本 あきひろ | 無所属 | — | 314 |
| 39 | 滝田 勇 | 無所属 | — | 204 |
| 40 | おくざわ ゆうや | 無所属 | — | 174 |
※ 金色の帯より上が当選。得票の小数点以下は按分票(同姓票の割り振り)で四捨五入。
トップ当選は木原 ひろし氏(自由民主党)の4,906票。当選ラインの5.3倍を集めており、盤石の個人票を持つことがうかがえる。
ボーダーラインの攻防
最下位当選のいしとび かおり氏(924票)と次点の羽賀 みずき氏(853票)の差は71票。1日の駅立ちや数十軒の訪問で動く票数であり、文字どおり「あと一歩」の攻防だった。
議会の構図
当選者の内訳は公明党6、自由民主党5、日本共産党4、立憲民主党3、無所属3、参政党1、都民ファーストの会1、国民民主党1、日本保守党(代表者:百田尚樹)1、立川・生活者ネットワーク1、緑の党グリーンズジャパン1、日本維新の会1。4期以上のベテランが15人という顔ぶれだ。ベテラン優位の安定構造だが、裏を返せば次の改選期に引退による『空白票』が生まれやすい構図でもある。
投票率と担い手の変化
投票率の推移は 2014年 41.67% → 2018年 43.54% → 2022年 42.13% → 2026年 41.53%。投票率は比較的安定しており、固定票の比重が高い選挙と言える。
候補者の平均年齢は 2014年 51.1歳 → 2018年 51.0歳 → 2022年 50.6歳 → 2026年 49.7歳と、2.8歳若返っている。世代交代の流れが票の流動性を高めている。
ネット発信と拡散力
候補者40人のうち、ネット上の発信チャネルを確認できたのは36人(X(旧Twitter)31人・Instagram28人・Facebook25人・YouTube19人・LINE9人)。当選者28人中27人が発信組だ。
発信あり候補の平均得票は1,661票と、確認できなかった候補(776票)の約2.1倍。因果とまでは言えないが、ネット上の活動量と得票が連動している選挙区だ。
検索エンジンでの「ネット登場度」(選挙情報データベースを除き、何種類のサイトに名前が登場するか)を全候補で調べると、最多は江口 元気氏の4サイト(得票順位2位)。自身の公式サイトとみられる tachikawa-jimin.jp も検索上位に入っており、ネット上の「名刺」が整っている。一方で候補者40人中12人は、データベース系サイト以外で名前がヒットしなかった。
拡散力の面では、報道露出(ニュース検索でヒットした記事数)が最も多いのは瀬 のぶひろ氏の44件で、得票順位は40人中7位。メディア露出と得票が噛み合っている。
YouTubeでは冨田 いたる氏がチャンネル登録者約27,900人と頭ひとつ抜けている。
| 候補者 | 発信チャネル | 登場度 | 報道 | 得票 |
|---|---|---|---|---|
| 瀬 のぶひろ当選 | FB・IG・LINE・X・YT | 1 | 44 | 2,259 |
| 冨田 いたる当選 | FB・IG・X・YT | — | 29 | 2,148 |
| かどくら 正子当選 | FB・IG・LINE・X・YT | 1 | 10 | 2,016 |
| やた 一久当選 | IG・X・YT | 4 | 9 | 981 |
| わたなべ 忠司当選 | FB・IG・X・YT | — | 16 | 2,870 |
| 福島 正美当選 | IG・LINE・X・YT | 2 | 10 | 1,882 |
※ 登場度=検索で名前が出るサイト数(選挙DB除く)/報道=ニュース検索ヒット件数。上位6人。
※ ネット発信の状況は、選挙情報サイトのプロフィール・各SNSの公開ページ・ニュース検索で機械的に確認できた範囲によります。「ネット登場度」は検索エンジン上位結果の集計による目安で、X(旧Twitter)のフォロワー数など取得できない指標は含みません。
前回比と当社モデル想定の答え合わせ
前回から続けて立候補した24人について、前回の得票をもとに当社モデルで試算した「想定得票」と実際の結果を照合すると、想定を上回ったのは16人。全体の環境としては、候補者が前回の36人から40人へ増え、票の奪い合いが激しくなった。
| 候補者 | 前回 | モデル想定 | 今回 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| わたなべ 忠司当選 | 1,429(27位) | 約1,285 | 2,870(3位) | +1,585(+123%) |
| 木原 ひろし当選 | 4,309(1位) | 約3,689 | 4,906(1位) | +1,217(+33%) |
| いしとび かおり当選 | 2,157(7位) | 約1,944 | 924(28位) | −1,020(−52%) |
| 松本 あきひろ | 1,113(28位) | 約1,006 | 314(38位) | −692(−69%) |
| 江口 元気当選 | 3,856(2位) | 約3,414 | 4,045(2位) | +631(+18%) |
※ 乖離の大きい順に5人。
最大の上振れはわたなべ 忠司氏。前回1,429票(27位)→今回2,870票(3位)で、モデル想定(約1,285票)を+1,585票(+123%)上回った。SNS等9チャネルでの積極発信に加え、地元での基盤固めが押し上げたとみられる。
逆に最も想定を割り込んだのは松本 あきひろ氏。前回1,113票(28位)から落選した。モデル想定(約1,006票)を692票(-69%)下回っており、候補者増による票割れ、投票率の低下が影響した可能性がある。
※ 「想定得票」は前回の得票実績から当社モデルで機械的に試算した値です(算出方法は非公開)。乖離要因の記述は、候補者数・投票率・ネット発信状況など確認可能な事実に基づく推察です。
埋蔵票の推計
当社の統計モデルでこの選挙を分析すると、既存の政党・現職のいずれにも固定されていない票——いわゆる「埋蔵票」は約5,888票(全国ランクB・全国平均圏)と推計される。これは当選ライン6.4人分に相当し、組織を持たない新人にも十分な当選余地がある数字だ。
政党別の攻略余地
政党別に見ると、自民党は国政での得票力に対して地方議席が追いついておらず、上積み余地は+3,809票と最大。公認候補を1人立てれば当選圏に届く計算であり、次回の擁立が注目される。一方、参政党は現職が期待票をほぼ使い切っており、追加擁立の余地は乏しい。
| 政党 | 期待票 | 上積み余地 | 公認新人の不足票 |
|---|---|---|---|
| 自民党 | 16,600 | +3,809 | 0 |
| 公明党 | 8,316 | 0 | 924 |
| 立憲民主党 | 4,744 | 0 | 924 |
| 日本共産党 | 4,629 | 0 | 924 |
| 国民民主党 | 3,198 | +854 | 70 |
| 日本維新の会 | 2,278 | +1,431 | 0 |
| 参政党 | 2,182 | 0 | 924 |
次回の立川市の選挙は2030年6月ごろと想定される。埋蔵票5,888票をどの陣営が掘り起こすか——準備は早い者勝ちだ。
※ 本記事の選挙結果は公開情報です。埋蔵票・上積み余地は、公開されている選挙結果と国政選挙の比例得票データをもとに当社独自の統計モデルで推計した参考値です(算出方法は非公開)。自民党は公認候補のみで集計し、無所属で活動する党員は無所属として扱っています。
あなたの街の埋蔵票も、無料で確認できます。
無料会員に登録すると、出馬予定の自治体について本記事と同レベルの分析(埋蔵票の実数・当選ライン・政党別の上積み余地・現職の次回予測)がすべて見られます。