2026年8月30日|埋蔵票分析コラム

【今週の埋蔵票分析】高知県越知町議選——当選ライン179票、眠る票は約391票

埋蔵票(推計)391票
当選ライン179票
投票率63.65%
候補者平均年齢70.5歳

選挙結果の概観

2026年8月9日執行の高知県越知町・町村議会議員選挙は、定数10に対して11人が立候補する少数激戦型の選挙となった。有効投票総数は2,587票、当選ラインは179票。

順位 候補者 所属 当選回数 得票
1 小田 そういち 無所属 — 374
2 たけち りゅう 無所属 — 298
3 高橋 じょういち 無所属 — 259
4 やの 久美 無所属 — 242
5 山はし 正男 無所属 — 232
6 岡林 まなぶ 無所属 — 226
7 森下 安志 無所属 — 219
8 岡林 ゆういち 無所属 — 213
9 岡林 あきひろ 国民民主党 — 211
10 小田 のりひろ 無所属 — 179
─── 当選ライン 179票 ───
11 上岡 ちせこ 日本共産党 — 133

トップ当選は小田 そういち氏(無所属)の374票。当選ラインの2.1倍を集めており、盤石の個人票を持つことがうかがえる。

ボーダーラインの攻防

最下位当選の小田 のりひろ氏(179票)と次点の上岡 ちせこ氏(133票)の差は46票。1日の駅立ちや数十軒の訪問で動く票数であり、文字どおり「あと一歩」の攻防だった。

議会の構図

当選者の内訳は無所属9、国民民主党1。

投票率と担い手の変化

投票率の推移は 2006年 83.97% → 2014年 73.62% → 2022年 61.64% → 2026年 63.65%。通算20.3ポイントの低下で、棄権に回る票は年々厚みを増している。裏を返せば、この層を投票所に呼び戻せた陣営が選挙を制する。

今回の候補者の平均年齢は70.5歳。60歳を大きく超えており、担い手の高齢化は顕著だ。数年内の引退ラッシュ=票の流動化は避けられない。

ネット発信と拡散力

候補者11人のうち、ネット上の発信チャネルを確認できたのは1人(Facebook1人)。当選者10人中1人が発信組だ。

検索エンジンでの「ネット登場度」を全候補で調べたところ、選挙情報データベース以外のサイトで名前がヒットした候補は1人もいなかった。有権者が名前を検索しても本人発の情報にたどり着けない状態であり、公式サイトを1枚持つだけで検索結果を独占できる環境だ。

拡散力の面では、報道露出(ニュース検索でヒットした記事数)が最も多いのは岡林 あきひろ氏の2件で、得票順位は11人中9位。露出が必ずしも票に結びついていないのが興味深い。

候補者 発信チャネル 登場度 報道 得票
たけち りゅう FB — — 298
岡林 あきひろ — — 2 211
小田 そういち — — — 374
高橋 じょういち — — — 259
やの 久美 — — — 242
山はし 正男 — — — 232

※ ネット発信の状況は、選挙情報サイトのプロフィール・各SNSの公開ページ・ニュース検索で機械的に確認できた範囲によります。「ネット登場度」は検索エンジン上位結果の集計による目安で、X(旧Twitter)のフォロワー数など取得できない指標は含みません。

前回比と当社モデル想定の答え合わせ

前回から続けて立候補した9人について、前回の得票をもとに当社モデルで試算した「想定得票」と実際の結果を照合すると、想定を上回ったのは6人。全体の環境としては、投票率が+2.0ポイント上昇した。

候補者 前回 モデル想定 今回 乖離
小田 そういち 275(2位) 約242 374(1位) +132(+55%)
上岡 ちせこ 244(7位) 約218 133(11位) −85(−39%)
たけち りゅう 267(3位) 約235 298(2位) +63(+27%)
高橋 じょういち 235(8位) 約207 259(3位) +52(+25%)
小田 のりひろ 252(6位) 約222 179(10位) −43(−19%)

最大の上振れは小田 そういち氏。前回275票(2位)→今回374票(1位)で、モデル想定(約242票)を+132票(+55%)上回った。投票率の上昇に加え、地元での基盤固めが押し上げたとみられる。

逆に最も想定を割り込んだのは上岡 ちせこ氏。前回244票(7位)から落選した。モデル想定(約218票)を85票(-39%)下回っており、後援組織の高齢化など構造的な目減りが影響した可能性がある。

※ 「想定得票」は前回の得票実績から当社モデルで機械的に試算した値です(算出方法は非公開)。乖離要因の記述は、候補者数・投票率・ネット発信状況など確認可能な事実に基づく推察です。

埋蔵票の推計

当社の統計モデルでこの選挙を分析すると、既存の政党・現職のいずれにも固定されていない票——いわゆる「埋蔵票」は約391票(全国ランクD・少なめ)と推計される。これは当選ライン2.2人分に相当し、組織を持たない新人にも十分な当選余地がある数字だ。

政党別の攻略余地

政党別に見ると、自民党は国政での得票力に対して地方議席が追いついておらず、上積み余地は+670票と最大。公認候補を1人立てれば当選圏に届く計算であり、次回の擁立が注目される。一方、国民民主党は現職が期待票をほぼ使い切っており、追加擁立の余地は乏しい。

政党 期待票 上積み余地 公認新人の不足票
自民党 670 +670 0
公明党 337 +337 0
日本共産党 177 +177 2
立憲民主党 93 +93 86
国民民主党 64 0 179
日本維新の会 61 +61 118
参政党 61 +61 118

次回の越知町の選挙は2030年8月ごろと想定される。埋蔵票391票をどの陣営が掘り起こすか——準備は早い者勝ちだ。

※ 本記事の選挙結果は公開情報です。埋蔵票・上積み余地は、公開されている選挙結果と国政選挙の比例得票データをもとに当社独自の統計モデルで推計した参考値です(算出方法は非公開)。自民党は公認候補のみで集計し、無所属で活動する党員は無所属として扱っています。

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