2026年9月13日|埋蔵票分析コラム
【今週の埋蔵票分析】兵庫県加古川市議選——当選ライン1,659票、眠る票は約13,441票
選挙結果の概観
2026年6月28日執行の兵庫県加古川市・市区議会議員選挙(注目ポイント:大接戦)は、定数31に対して41人が立候補する多数乱立型の選挙となった。有効投票総数は91,808票、当選ラインは1,659票。
| 順位 | 候補者 | 所属 | 当選回数 | 得票 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | おちあい 誠 | 日本維新の会 | 5期 | 4,102 |
| 2 | いなじ 誠 | 無所属 | 5期 | 4,100 |
| 3 | 井上 やすこ | 無所属 | 4期 | 3,978 |
| 4 | 山下 さとし | 参政党 | 2期 | 3,664 |
| 5 | 中村 亮太 | 無所属 | 6期 | 3,547 |
| 6 | 岡田 たえこ | 公明党 | 4期 | 3,100 |
| 7 | 木谷 万里 | 無所属 | 6期 | 2,995 |
| 8 | 笹本 わたる | 日本維新の会 | 2期 | 2,901 |
| 9 | ふじわら しげき | 無所属 | 4期 | 2,830 |
| 10 | 北 としかず | 参政党 | 2期 | 2,824 |
| 11 | ももい 祥子 | 公明党 | 5期 | 2,721 |
| 12 | 東田 としひろ | 無所属 | 3期 | 2,713 |
| 13 | 大野 きょうへい | 無所属 | 4期 | 2,688 |
| 14 | 岩本 たいすけ | 無所属 | 3期 | 2,672 |
| 15 | 吉田 くみこ | 日本共産党 | 2期 | 2,583 |
| 16 | 小林 なおき | 公明党 | 6期 | 2,582 |
| 17 | あしだ 伸一 | 公明党 | 2期 | 2,550 |
| 18 | つげ あつひと | 無所属 | 4期 | 2,432 |
| 19 | さがら 大悟 | 公明党 | 7期 | 2,419 |
| 20 | 松本 裕之 | 無所属 | 5期 | 2,382 |
| 21 | 山本 けんご | 無所属 | 4期 | 2,372 |
| 22 | 西村 まさ文 | 無所属 | 5期 | 2,292 |
| 23 | やまさき 兼次 | 公明党 | 3期 | 2,259 |
| 24 | 渡辺 せいじ | 無所属 | 5期 | 2,105 |
| 25 | ふじわら みつえ | 無所属 | 3期 | 2,103 |
| 26 | おりた 正樹 | 無所属 | 5期 | 2,061 |
| 27 | しみず れいこ | 無所属 | 3期 | 1,973 |
| 28 | 玉川 ひでき | 無所属 | 6期 | 1,969 |
| 29 | おおさわ 一功 | 無所属 | 2期 | 1,804 |
| 30 | 木下 きよひと | 無所属 | 2期 | 1,684 |
| 31 | 田中 やすひろ | 無所属 | 2期 | 1,659 |
| ─── 当選ライン 1,659票 ─── | ||||
| 32 | 小池 けんと | 無所属 | — | 1,643 |
| 33 | 末原 そういちろう | 立憲民主党 | — | 1,618 |
| 34 | 橋本 和彦 | 日本共産党 | — | 1,552 |
| 35 | 山田 ゆかり | れいわ新選組 | — | 1,131 |
| 36 | 清水 みかこ | 無所属 | — | 872 |
| 37 | たつみ くにこ | 無所属 | — | 858 |
| 38 | 中山 としあき | 無所属 | — | 733 |
| 39 | まなべ 宏一 | 無所属 | — | 570 |
| 40 | ごとう くみ | 無所属 | — | 449 |
| 41 | あかさか かなた | 無所属 | — | 318 |
※ 金色の帯より上が当選。得票の小数点以下は按分票(同姓票の割り振り)で四捨五入。
トップ当選はおちあい 誠氏(日本維新の会)の4,102票。当選ラインの2.5倍を集めており、盤石の個人票を持つことがうかがえる。
ボーダーラインの攻防
最下位当選の田中 やすひろ氏(1,659票)と次点の小池 けんと氏(1,643票)の差は16票。1日の駅立ちや数十軒の訪問で動く票数であり、文字どおり「あと一歩」の攻防だった。
議会の構図
当選者の内訳は無所属20、公明党6、日本維新の会2、参政党2、日本共産党1。4期以上のベテランが18人という顔ぶれだ。ベテラン優位の安定構造だが、裏を返せば次の改選期に引退による『空白票』が生まれやすい構図でもある。
投票率と担い手の変化
候補者の平均年齢は 2014年 53.0歳 → 2018年 55.3歳 → 2022年 55.0歳 → 2026年 55.0歳でほぼ横ばい。年齢構成に大きな変化はない。
ネット発信と拡散力
候補者41人のうち、ネット上の発信チャネルを確認できたのは30人(X(旧Twitter)16人・Instagram20人・Facebook22人・YouTube8人・LINE5人)。当選者31人中22人が発信組だ。
発信あり候補の平均得票は2,291票、なし候補は2,097票と大差なく、ネットの有無だけでは差がつかない段階と言える。
検索エンジンでの「ネット登場度」(選挙情報データベースを除き、何種類のサイトに名前が登場するか)を全候補で調べると、最多は木谷 万里氏の4サイト(得票順位7位)。自身の公式サイトとみられる kitanimari.com も検索上位に入っており、ネット上の「名刺」が整っている。一方で候補者41人中24人は、データベース系サイト以外で名前がヒットしなかった。
拡散力の面では、報道露出(ニュース検索でヒットした記事数)が最も多いのは山下 さとし氏の10件で、得票順位は41人中4位。メディア露出と得票が噛み合っている。
YouTubeでは小池 けんと氏がチャンネル登録者約136人と頭ひとつ抜けている。
| 候補者 | 発信チャネル | 登場度 | 報道 | 得票 |
|---|---|---|---|---|
| おちあい 誠当選 | FB・IG・X・YT | 2 | 5 | 4,102 |
| 西村 まさ文当選 | FB・IG・LINE・X・YT | 2 | 1 | 2,292 |
| 小池 けんと | X・YT | — | 5 | 1,643 |
| 山下 さとし当選 | FB・IG・X | 2 | 10 | 3,664 |
| 北 としかず当選 | FB・X・YT | — | 10 | 2,824 |
| 笹本 わたる当選 | FB・IG・X | 4 | 3 | 2,901 |
※ 登場度=検索で名前が出るサイト数(選挙DB除く)/報道=ニュース検索ヒット件数。上位6人。
※ ネット発信の状況は、選挙情報サイトのプロフィール・各SNSの公開ページ・ニュース検索で機械的に確認できた範囲によります。「ネット登場度」は検索エンジン上位結果の集計による目安で、X(旧Twitter)のフォロワー数など取得できない指標は含みません。
前回比と当社モデル想定の答え合わせ
前回から続けて立候補した26人について、前回の得票をもとに当社モデルで試算した「想定得票」と実際の結果を照合すると、想定を上回ったのは13人。全体の環境としては、候補者が前回の35人から41人へ増え、票の奪い合いが激しくなった。
| 候補者 | 前回 | モデル想定 | 今回 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 北 としかず当選 | 1,498(32位) | 約1,326 | 2,824(10位) | +1,498(+113%) |
| いなじ 誠当選 | 3,115(9位) | 約2,783 | 4,100(2位) | +1,317(+47%) |
| おちあい 誠当選 | 3,412(4位) | 約2,791 | 4,102(1位) | +1,311(+47%) |
| 中山 としあき | 2,317(25位) | 約1,943 | 733(38位) | −1,210(−62%) |
| ふじわら しげき当選 | 2,068(28位) | 約1,884 | 2,830(9位) | +945(+50%) |
※ 乖離の大きい順に5人。
最大の上振れは北 としかず氏。前回1,498票(32位)→今回2,824票(10位)で、モデル想定(約1,326票)を+1,498票(+113%)上回った。SNS等3チャネルでの積極発信に加え、地元での基盤固めが押し上げたとみられる。
逆に最も想定を割り込んだのは中山 としあき氏。前回2,317票(25位)から落選した。モデル想定(約1,943票)を1,210票(-62%)下回っており、候補者増による票割れが影響した可能性がある。
※ 「想定得票」は前回の得票実績から当社モデルで機械的に試算した値です(算出方法は非公開)。乖離要因の記述は、候補者数・投票率・ネット発信状況など確認可能な事実に基づく推察です。
埋蔵票の推計
当社の統計モデルでこの選挙を分析すると、既存の政党・現職のいずれにも固定されていない票——いわゆる「埋蔵票」は約13,441票(全国ランクA・全国上位)と推計される。これは当選ライン8.1人分に相当し、組織を持たない新人にも十分な当選余地がある数字だ。
政党別の攻略余地
政党別に見ると、自民党は国政での得票力に対して地方議席が追いついておらず、上積み余地は+22,335票と最大。公認候補を1人立てれば当選圏に届く計算であり、次回の擁立が注目される。一方、参政党は現職が期待票をほぼ使い切っており、追加擁立の余地は乏しい。
| 政党 | 期待票 | 上積み余地 | 公認新人の不足票 |
|---|---|---|---|
| 自民党 | 22,335 | +22,335 | 0 |
| 公明党 | 13,177 | 0 | 1,659 |
| 日本維新の会 | 10,231 | +4,644 | 0 |
| 立憲民主党 | 4,915 | +4,915 | 0 |
| 参政党 | 3,715 | 0 | 1,659 |
| 日本共産党 | 3,551 | +1,231 | 428 |
| 国民民主党 | 2,723 | +2,723 | 0 |
次回の加古川市の選挙は2030年6月ごろと想定される。埋蔵票13,441票をどの陣営が掘り起こすか——準備は早い者勝ちだ。
※ 本記事の選挙結果は公開情報です。埋蔵票・上積み余地は、公開されている選挙結果と国政選挙の比例得票データをもとに当社独自の統計モデルで推計した参考値です(算出方法は非公開)。自民党は公認候補のみで集計し、無所属で活動する党員は無所属として扱っています。
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